横山拓也・上田一軒 演出家と作者の関係

話題作「エダニク」3回目の公演

―横山さん、三重は2011年のM-PAD1)三重県津市内の飲食店や寺院で、料理とリーディング公演を楽しむイベント。三重県文化会館と津あけぼの座の共催で2011年にスタートした。Mie(三重県)で、Performing Arts(舞台芸術)を、Dinner(夕食)・Dining(食事)・Delicious(美味しい)と舞台芸術と食事・飲食店などの融合を考え、頭文字を取って「M-PAD」とした。2012年は6演目9公演・1まとめ見公演を開催し、好評を得た。2013年も11月に開催予定。にお越しいただいて。

横山:約1年ぶりですね。

―2012年6月は名古屋・大須の七ツ寺すぐ近くの…

横山:モノコト4)2012年6月に、iakuの旗揚げ公演「人の気も知らないで」が行われた名古屋市大須のカフェ。インタビュアーの油田はこの公演を観劇した。
モノコト
っていうカフェで。お世話になりました。

―「エダニク」2)2009年2月、「真夏の會」第1回公演として上演された作品。横山さんが劇作、上田さんが演出を務め、戯曲は第15回劇作家協会新人戯曲賞を受賞。2011年8月に東京、兵庫で再演。2012年12月から「iaku vol.2」の公演として、福岡、三重、東京、京都の4都市ツアーが行われている。このインタビューは福岡公演の4日後に実施。三重公演は津あけぼの座で2013年1月26日(土)・27日(日)に行われる。
2011年上演時の「エダニク」劇評(ネタバレしていますのでご注意ください)
の上演は3回目ですか。

横山:2009年の2月にやって、2011年の8月にやって、で今回2012年12月からのツアーですね。

―俳優さんは変わってるんですか。

横山:今回初めて、1人変わりました。「デス電所」の丸山君3)「エダニク」に出演している丸山英彦さん。「デス電所」は丸山さんが所属する劇団で、歌・ダンス・漫才・コント・映像などをポップに散りばめつつも、社会の風刺や文学性を取り入れた作風で異彩を放つ。2011年に活動拠点を大阪から東京に移し、話題となった。
デス電所
がやってる役が、以前は「水の会」の原真君5)「水の会」は、2000年に関西学院大学劇研究部「爆劇☆団」出身者により旗揚げされた劇団。原真さんはその主宰者で、役者として活躍していた。劇団は2011年11月、惜しまれつつ活動終了。だったんです。彼が広島に行くことになって、関西を離れたんで。

―どうですか? 福岡公演を終えた段階で。三重まで1カ月ありますけど。

上田:そうですね。初演の時にちょっと粗かったなぁ、やり切れてなかったなぁっていうのを、再演でできる限りやって。で3回目どうしようかと。同じことをすればいいんですけどね。

横山:できないんですよ、この人。

上田:何かできない。同じことなぞろうとすると、モチベーションが上がらないので。でも俳優が変わるんで面白いなと思って、ニオイが違う俳優さんだから。変わりましたね、やっぱり。

横山:何が変わったかっていうと、ランタイムが大きく変わったんです。10分くらい延びた。

―台本は変更せず?

横山:ほぼ、いじってないですもんね。だから前やってた原君の、俳優のセンスや 能力が今回の丸山君と種類が違うっていう、良い悪いじゃなく。それが10分近い差が出るっていうのが、面白いなって。

―台本を読んで「エダニク」を是非、三重に呼ぼうって決めたんですけど。横山さんにお会いした時に「当て書きなんですか」って聞いたら、違うっておっしゃいましたよね。

横山:当て書きではないですね。男3人の俳優が決まってて、知ってる役者と知らない役者がいたので、ワークショップみたいなことやって見させてはもらいました。あとはもうイメージです。

―よくできてる台本だなぁと。上田さん、演出家としては逆にやりにくいんじゃないですか。本としてすごくよくできてるから。

上田:僕はそもそも、演出家として何か表現しようっていうのがないんですよ。だから本にどれだけ寄り添うかに終始したので。それを俳優と一緒にやっていく作業だけで、十分に欲求が満たされました。

横山:変に演出家が前に出ないんですよ。でも、僕より断然僕の本を読んでくれる。僕が読めないところまで読んでくれます。そこが僕が一番信頼してる部分です。

上田:よく演出家の人に「オレが演出やったら、もっとこうする」って言われるんですよ、「エダニク」上演後に。でも、あんまり何か自分らしいことしよう、っていう気がないんで。そういう台本じゃない気がするし。そのままやった方が面白いんじゃないの、って。

横山:でもそれ、ようできる俳優そろえての話でしょ。読める俳優、やれる俳優やないと、手取り足取りの俳優入ってきて「エダニク」やったらキツイですよ。

―何かこう、やれそうな気がする台本っていうか。自分たちでもやれるんじゃないかっていう誘いがある台本かなと思ったんです。でも下手にやったら大やけどするかも知れないですね。

上田:俳優のスキルは必要でしょうね。初演の時、稽古場で一生懸命作って、初めて通してみたら全然ダメで。あれっ、おかしいなぁと思って。シーンごとにちゃんと作れば、面白くなると思ってたんですけどね、そのままやれば。全然ダメで。そこからもう1回考え直してやったんですけど。そういう意味では、難しい本なのかもしれない。

―いやぁ、面白いですよ。福岡での反応はどうだったんですか?

横山:好評でした。ただこっち側が、3回目ってことで新鮮味を失ってて、大丈夫なのかって思ったりもしてたんですけど。ふた開けてみたら、例えば今回、福岡市の文化芸術振興財団が主催だったんですけど、その職員さんとか市役所の方とか見に来てくださって。過去に他の作品見た時はスッと帰りはったけど、「エダニク」に関してはわざわざ事業担当者の所に来て、「よかった」とか「面白かった」とか言って帰ってくれたみたいで。演劇を見慣れてない人に対しても、ちゃんとアクセスできる作品であるってことは、改めて思いましたね。

―上田さんはどうですか

上田:………………………………良かったですね。

横山:言葉選んだ結果っ!

一同:あはははは。

―ちょっと休んで、また稽古始めるんですか。

上田:そうですね、もうちょっと詰めますね。

横山:それは福岡の出来を受けて?

上田:うん。何かそう言うと「できてなかったんか」みたいな感じになるから、あんまり言わん方がエエかなって。でも、まだちょっと詰めたい。

2人の出会いと立ち位置

―横山さんと上田さんは、いつからの付き合いですか。「エダニク」から?

横山:「スクエア」6)上田さんが代表を務める劇団。1996年、上田さんと森澤匡晴さんの2人で結成した。脚本を森澤さん、演出を上田さんが担当。関西屈指のコメディー・ユニットとして舞台やテレビで活躍し、「釜山国際演劇祭」に招へいされるなど海外でも評価を得ている。
スクエア
と「売込隊ビーム」7)横山さんが以前所属していた劇団。大阪芸術大学在学中、山田かつろうさんを中心に結成された。1996年10月に旗揚げ公演を実施。2011年5月より無期限充電中。の旗揚げがほぼ同じなんですよ。16、7年ずっと関西小劇場で一緒に頑張ってきて。僕は「スクエア」のファンで、1回目から欠かさず見てたんです。自分たちとはジャンルの違うコメディーを、楽しく見させてもらってて。演出家としての一軒さんというよりは、俳優として見てました。一軒さんは「売込隊ビーム」、そんなに見てくれてなかったですよね。

上田:そんな言い方…。

横山:言い方おかしいけど。あんま芝居見に行かへんからね、そもそも。

上田:ちょこちょこ見てました。知り合いではあった。

横山:飲み会の席では会ってましたけど。

上田:仕事することはなかったね。

横山:作・演出として組んだのは、「エダニク」が初めてですね。

―どなたがオファーしたんですか。

上田:「エダニク」は「真夏の會」8)元「クロムモリブデン」の夏さんと元「水の会」の原真さん、女優の冨永茜さんが結成したユニット。専属のスタッフや演出家、作家を定めず、公演ごとに人を集める。2009年2月、第1回公演「エダニク」を大阪市のトリイホールで開催。っていうユニットが企画したんです。そこが「作・演出に毎回別の人を呼んで、組み合わせて芝居をしよう」っていうコンセプトで、その第1弾として。で、彼らが「横山君が今、書きたいものを書いてください」と言って、「エダニク」っていう作品ができた。僕に演出の話が来たのは、すごく意外やったんですけどね。演出家としては、コメディー以外はあんまりしてなかったから。そこからちょっと勉強して………………頑張ってやったんですけど、はい。

一同:あはは。

―横山さんはどう思われたんですか、この組み合わせについて。

横山:僕は「売込隊ビーム」でも、ちょっと重たいところとか嫌なとこついてく芝居を、外連味たっぷりにみせるというか。まぁ役者がそういう顔ぶれだったんで、そういう作りにしてて。それでバランス悪いとか言われてたんですけど。一軒さんは、僕がジメッとしたもの書いても、ライトに笑わせにいくような感じを狙ってんのかなって。でも「あんまり考えずに書こう」って思って書いたんです。ふた開けてみたら、ものすごいガツッと芝居作ってくれましたよね。だから最初の印象と、出来上がっていく芝居は違いましたね。

上田:笑わせんとこうかなって。横山君の台本は、その役者の外連(けれん)で処理し過ぎだなって思ってたんです。そこがちょっと弱い………悪口じゃないですよ。あ、見てないようで見てたからね、芝居。

横山:もったいない、みたいな。

上田:そのやり方じゃない方が、生きるんじゃないかって。依頼を受けた時、そういう気持ちもあったんですよ。やっぱり台本見ると、会話自体はすごく小気味がいいというか、センスのいいユーモアが流れてて。それを逆にどうしたろかなっていう。泥臭くした方が面白いぞって。あんまり外連の方に走るのは、抑制したいなと思ってやったんですよ。

横山:さっき言ってもらったみたいに、台本自体が面白く読める分、やりようによっちゃあ、作家が狙ってない部分でさえ、どん欲に笑わせにかかることもできる。そこを、1番いいアンバイでいってくれたような気がしますね。

上田:小気味よい会話を拾って読むこともできるし、暗い部分を拾って読むこともできる。だからどうするかっていうのは、人によって結構あるかもしれんね。僕としては、どっちも崩さずに、みたいな。だからいろんな演出家に「僕ならこうする」って思われても、それはそれでいいかなって。

横山:福岡の客席も笑いはそんなになくて、ニヤニヤしてるっていう感じ。

上田:笑っていいのかどうか分からない感じで作ってるから。あんまり笑い声は起こらないですね、クスクスはしてるけど。

横山:それが正解な感じはしますね。

―稽古現場は、お2人ともいらっしゃるんですか。

横山:僕は2回に1回ぐらいですかね。

―何か意見するんですか。

横山:いや、僕は何も言わない。

上田:やっぱり横山君自身が演出もするから、横におられたら嫌かなぁと初めは思ったんですけどね。いても何も言わないし、任せてくれるんで、最近は気にならなくなりました。

横山:「自分のセリフ好きやな」って言われるんですよ。「芝居がおもろいからですよ」って弁解するんですけど。

上田:稽古場で台本の解釈について話したり、書かれてない部分を読み込んだりするじゃないですか。それを説明する時に「合ってんのかな」とか思って、最初はちょっと気にしてたんですけどね。

横山:新作つくる時は、ある程度ディスカッションしますからね。でも「エダニク」初演の時は、ほとんどしてないんじゃ…。

上田:いや、台本の話すごいしたやん。

横山:あ、そっか。で、大きくリライトして。稽古場でというより、2人で戯曲を前にして討論というか。僕、その作業めちゃくちゃありがたいんですよ。自分が書いたけど詰め切れてない部分を早い段階で明確にしてもらえるんで、リライトする時間がある。あと僕は演出家としての自分をあんまり信頼してないんですよ。だから作品を立体化してくれる演出家が近くにいて、しかもちゃんと読んでくれるっていうのは、楽しいですね。

―日本って作・演出を兼ねてる人がほとんどで、演出家っていうのは、亡くなった作家の作品を取り上げることが多いですよね。

横山:そうですね。ただ僕は、演出家の仕事と劇作家の仕事は、全く違う職業だと思うんですよね。向いてる、向いてないは当然あるし、あとマッチングがあると思うんで。本当にいい出会いを「真夏の會」にさせてもらったなと思ってます。
必見! 最も濃密な三重公演

―「エダニク」を津あけぼの座でやる場合、かなりアツいものが目の前で展開されるのが、面白いだろうなって。

横山:ばっちりですね、距離感が。

―会話の“生さ”を間近で感じられるのが、相当いいんじゃないかと。三重の方にぜひ見てもらいたいですね。あと三重って言葉が関西弁寄りなんですよ。だから割と食い付きがいいはず。

横山:関西弁ね。実はこの3人芝居、関西弁しゃべってんの1人しかいないんですけど、その印象が強烈ですからね。

―「エダニク」3回目のセールスポイントとかあれば。

横山:見どころってやつですか。

―「瞬きするな!」みたいな。

上田:瞬きは、しても大丈夫です。そんなに展開速くないんで。

横山:津あけぼの座に関してはね、やっぱり濃密だと思います。これまでの会場がトリイホール9)大阪市中央区千日前にある約100席の小劇場。落語家や歌舞伎役者、新派の役者などが泊まる老舗旅館「上方旅館」を前身とする。「エダニク」初演時の会場。
トリイホール
とアイホール10)伊丹市立演劇ホール。2011年8月に「エダニク」が上演された。
アイホール
、王子小劇場11)東京都北区王子にある小劇場。2011年8月に「エダニク」が上演された。
王子小劇場
、ぽんプラザホール12)福岡市博多区にある小劇場。2012年12月、「エダニク」4都市ツアーの幕開けを飾った。
ぽんプラザホール
で、ここが5会場目なんですけど。やっぱり広い小屋だと、俯瞰になって空間が埋まらない感じになっちゃうんで。そういう意味でここは1番、空気が濃密になると思います。ハードル上げ過ぎかもしれないけど。全体がグッとこう、前のめりになる瞬間があると思うんで、そこを瞬きしたり居眠りしたりするのは、もったいないなと。

―上田さんは、どうですか。

上田:うーん。3回目だからどうか、ってのを考えてたんですけど………ないな。あるんかな?

横山:3回目だから演出を変えた、とかないから。やっぱり今まで取り組んできたものでしょうね。

上田:すみません、面白いこと言えなくて。

2013年の三重は「横山イヤー」

―1月に津あけぼの座で「エダニク」、5月に津あけぼの座で「梨の礫の梨」があって13)宮川サキ+Sun!!二人芝居 サキトサンズ 武者修行全国ツアー「梨の礫の梨」が2013年5月、津あけぼの座に登場予定。横山さんが作・演出を手掛けている。
サキトサンズ
、12月に三重県文化会館で「目頭を押さえた」14)iaku vol.4「目頭を押さえた」を12月7日(土)・8日(日)に三重県文化会館で公演。東京・こまばアゴラ劇場でも12月12日(木)〜15日(日)に上演する。。2013年の三重は「横山イヤー」ですね。「目頭を押さえた」もお2人で?

横山:はい、2人で組んだ第2弾です。また6月に大阪で、第3弾の新作15)iaku vol.3「忘れてないけど、記憶にない(仮)」を6月29日(土)・30日(日)、八尾プリズムホール(大阪府八尾市)で公演予定。つくるんですけど。僕がラブコールを送り続けて、一軒さんをつなぎ止めてます。

―同じ作家さんで、違う作品を1年に3つやるのは、三重では初めてじゃないかなぁ。

横山:6月の新作もどなたか呼んでくれれば、4作になるんですけど…。

―横山さん、すごい書きますもんね。

横山:2012年はめちゃくちゃ書きましたね。

―「目頭を押さえた」は葬儀の話ですよね。

横山:はい。いわゆる田舎と称される場所における、伝統的な葬儀と新しい葬儀を持ち込んで、親類関係にある2つの家族のイザコザみたいなものを書いた話。他にも普遍的な問題がいろいろ絡んでくるんですけど。

―「エダニク」で培ったものが、生かされるってことですよね。

上田:もちろんそうです。

横山:作風は、だいぶ違いますけどね。

上田:うん、全然。エダニクは、ほぼ1幕ですからね。

横山:ほんとは名古屋で見ていただいた「人の気も知らないで」16)2012年6月、iaku旗揚げ公演として名古屋と東京で上演された。同僚の見舞いに行った帰りに、カフェでお茶をする女たちの人間模様を描く。を、一軒さんに演出してもらいたいんですよ。あれは「エダニク」と近しい熱量があるので。僕が演出すると、いろんなこと恐れてパンパンいきたくなっちゃうけど、一軒さんに渡すとたぶん、もっと空気が淀むというか。

上田:淀む?

横山:淀む、っていい言い方じゃないですね。濃密になる?

上田:そっちにしといてください。

横山:ギュッとしたものが作れると思うんで。いつか一軒さん演出で再演したいなと。

―やることになったら、ぜひ津へ。

横山:もちろん!

―では最後にひと言ずつ、「エダニク」三重公演のアピールを。

上田:アピール、何だろうな。

横山:僕、最近知らない所で書かれてるプロフィールは「今、関西で1番新作が期待できる作家」。

上田:それ、よく見掛けますね。

横山:自分で言ったらメチャメチャ恥ずかしいけど、人に言われると気分いいですね。

上田:じゃぁ、僕がそれ言ったことにしよ。

横山:いや、それは。

一同:ははは。

上田:出演者3人だけで、ダンスもなくて。会話してるだけなのに、ずーっと見ていられる芝居なんですよ。僕はそれが面白いと思って、横山君と組んでるんですけど。だから何て言うんですかね、ほんとにずーっとその人間を見とくっていう。最後には、その「人間を見る」っていうお客さんの感度が上がってる、みたいなことになったらいいなと。

横山:そうなんです。今回は食肉解体、いわゆる屠場のこととか生命の問題とかが作品の中にあって、拾わざるを得ないというか、観客に絶対届いてしまうものってあるんですけど、そういうことじゃない部分ていうか。もちろんそれは1つの大きな題材として扱ってますけど、人間が本気になって自分の立場を守ろうとしたり、主張を通そうとしたりするのを、じろじろ見られる、じろじろ見ることでエンターテインメントになる。そこが「エダニク」の面白みだと思っていて。

上田:横山君の台本は、だいたいそやで。テーマが絞られてるかっていうとちょっと違って、そこにおる人間たちの仕草に、だんだん焦点が絞られる感じ。

横山:屠場のことばっか聞かれると物語とずれていくんですけど、このインタビューでありがたいのは、そうじゃないところを引き出してもらってるので。もちろん題材に興味持ってもらってもいいんだけど、見どころはやっぱり人間の…人の口げんかを見られるっていう部分なんで。

―確かに屠場って書かれると、ついそっちに…。

横山:力ありますからね。そこがある意味、戯曲として評価されてる部分もあるので、無視できないんですけど。僕がこの作品について必ず言ってるのは「最初の動機は“労働”を描くこと。『男3人が、労働というものに対してどういう立場にいるか』っていう視点で男社会を描くところからスタートして、それで場所探して、たまたま屠場になったんです」って。

―なるほど。

上田:あと見どころとしては、やっぱり俳優の演技がレベル高いんじゃないですか。

横山:そうですね。関西で初演やった時、見に来た俳優がやたら褒めてくれるんですよ。「こういう芝居がしたい」「こういうところまでたどり着きたい」って。

―男の俳優は絶対やりたいって思う芝居ですよね。

上田:芝居をやり初めて、どっかの時点で挑戦したくなる。

―だから演劇に興味ある人は必見ですね。本番、楽しみにしています! ありがとうございました。